2月20日に研究大会がある。
この話を頂いた時に、私はいつもの悪い癖で(笑)2つ返事でOKを出した。
「いいですよ。発表するネタなら幾つかありますから。」
実は私は研究大会発表っつうのは生まれて初めてだ(爆)
そしてもう一つ悪い癖が出た。
「自分はいつも発表しているからもういい、若い子に発表させたい」と無理を言ってしまった。
上司は心配した。
経験の浅い介護職員・・・・介護福祉士を持っていないような若い子がちゃんと発表出来るだろうか?
発表したこともないのに研究大会で発表なんか出来るんだろうか?
実は私も心配だった。
私がその若い子B子を選んだ時、B子は介護の仕事に対してモチベーションを落としかけている時期だった。
一緒に食事をした時「介護福祉士なんか要らない。介護福祉士を持っていて尊敬出来る人なんかいない」と豪語した。
確かに彼女は介護福祉士を持っていなかったが仕事が出来た。
的確なケアプランを考えた。
「介護福祉士有資格者」より鋭い視点でアセスメントを行っていた。
認知症の方に対する働きかけも彼女が一番積極的におこなっていた。
その食事会の最後に「でも介護福祉士は勉強をした証。武器になる、あんたの武器になる。」と言うとその夜メールで「来年、調理師の免許と介護福祉士の資格を取ることにしました」と言ってきた。
彼女にとっては調理師が一番、介護福祉士が二番だ。
でも私はそれでいい、その方がいい、と思った。
彼女の実家は小さな小さな中華食堂を経営していた。
お父さんが病気になり、跡継ぎがいない。
なのでB子が急遽調理師免許を取ることになった。
店の存続がかかっているのだ。
思えば、中華料理屋に来るお客さんの「好み」「特徴」「人生歴」をつかみ、食事やサービスを提供するその技術や声掛けは、デイサービスのサービスと重なるところが多い。
「身体的」「精神的」という視点がケアに不可欠だが、おそらく小さい頃からお店を手伝ってきた経験は「利用者をアセスメント」する能力を高めてきたのに違いないのだ。
そうは言ってもやっぱり心配だった。
一度「もし駄目だったら私が発表するから」とその言葉が喉元まで出掛かった。
上司にも「いざとなったら私が発表しますから」と繰り返した。
B子は「選ばれた」ことをとても喜んでいた。
彼女が慕っていた上司は去年の12月に辞めてしまった。
その上司が退職の日に、別れがつらくて泣いている彼女に向かって「研究大会は見に行くから。絶対に見に行くから」と声を掛けているのを見かけた。
レジュメは最初は私は「5枚くらいあるもの」をB子に渡した。
全体像をつかんで欲しかった。
8分発表時間という短い発表だが、元々は1時間くらいで話したい内容なんだよ、その大元がこれなんだよ、ということを理解して欲しかった。
言いたいこと、をわかって欲しかった。
半月前ほどに「1枚にまとめた」レジュメを渡した。
要点をまとめたものだった。
笑福関東が終わり、自分に余裕が出来たので研究大会のレジュメをまとめ始めた。
読みあわせをする。
「癖でしょう?「はい!」って言うの。私の場合は「えっと」なんだけど。
「はい」は言っちゃ駄目。」
「緊張すると早口になるからね。喋るのはゆっくりでいいよ。メリハリをつけて。」
ちょっと厳しい言葉をB子に投げかけた。
今は彼女は私の前で発表しているだけだけれど、大きな会場で発表するとどんなに緊張するか。まだ経験していない。
余談になるけれど、1月の地域包括でのレクセミナーは笑福会のちこさんが、講師として私を招いてくれた。
自分のデイから職員1人、頼まれて他のデイから1人、若い子をスタッフで連れていった。
その時、ちこさんが「他の施設の若い子が発表をしているのを見るのはうちの職員にとってもいい刺激になるから」とスタッフに自己紹介をさせてくれた。
名前と事業所名と簡単な挨拶だけだったけれど、「普通の介護職員が他の施設の研修で発表している」姿は、双方にとって「印象的な出来ごと」になったと思う。
「私にも出来るかもしれない」
「私にも出来た」
「私もやってみたい」
ここから全てが始まるんじゃないかと思う。
話は元に戻って、研究大会で発表するB子は家で何度も原稿を読み、自分のものにしようと頑張っていた。
ある時
「順子さん、私は当日原稿に無いから読まないけど、このレジュメに書いてある
『自分の親がちーちーぱっぱをやっていたら哀しいよね、私達はやめようね』
『ゲームなんて馬鹿馬鹿しい、でもその馬鹿馬鹿しいゲームすら出来ない自分が情けないって利用者さんが言っていた』
という文章、
『座っているだけって"ここに呼ばれた意味"がないよね、私達はその意味を作っていこう』って
この文章が好きなんです。」
と言いだして、その言葉にちょっと嬉しくなった。
「この子はこのレジュメを自分のものにし始めたんだ、他人の書いたものをそのまま丸読みするのではなく、自分のものにし始めたんだ。」
今回は私の書いた原稿をそのまま読むだけれど、のちのち、「自分のものを作り出す」お手本になる。
いやお手本なんておこがましい、私のレジュメなんか超えるものを作るようになるだろう。
冗談でこんな話をする。
「入賞しちゃったらどうする?」
「パーッと飲んで使おうか、お金(笑)」
入賞なんてするわけないんだ。
初めての研究大会参加だよ。初めての発表だよ。
そんなの無理に決まっている。
でも、そうしたらこう言えばいい。
「そうか、じゃあどうして入賞しなかったのか、入賞した研究チームの発表はどこが良かったのか、比べてみようか。」
これが一番大事だと思う。
そうやって新しい知識や技術は増えていくもんだと思う。
B子が昨日、お弁当を食べながらこんな話を始めた。
「金曜日は毎週、お店を手伝っているんです。
お店のかきいれ時だからね。
うちのお店に15㎝くらいのお立ち台があってね。
ちょっとしたステージみたいなスペースがあるんです。
そこで、店じまいした後に、
ステージの前に椅子を並べてね。
お父さん、お母さん、お店の常連さん、、、私が子どもの頃から店に来てくれている常連さん達です。
その人達を並べてね、
発表したんです。
9分だった。
8分にしなくちゃいけないのに。」
そこまで聴いて私は不覚にも泣きそうになってしまった(笑)
私「そう、どうだった?反応は?」
B子「お母さんはね、介護の仕事をしていたこともあるから。大きな拍手をしてくれた。
お父さんや常連のお客さんはね、『グループダイナミックス』とか『ジコカイジ、タシャリカイ』ったってね、ワケわかんない。
首傾げてた(爆)」
私「そう。難しい言葉だもんね。当日はレジュメをパワーポイントでうつすから何となくわかってもらえるよね。
そう、良かったね。お店で研究発表やったんだ・・・・。」
明日は友達の前で発表してみる、それから家でも何度でも読み返してみる、、、と
B子はとても張り切っている。
結果より経過が大事。
今、とても素敵な「経過」を経験している、、、あたし達。
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