2008年3月アーカイブ

chiba6.jpg船橋市南部在宅療養研究会主催の褥瘡対策講習会に参加しました。

最初の講義は「堀田予防医学・統合医療研究所・堀田先生の
「OHスケールを用いた褥瘡リスクマネージメント」でした。

この講習会の面白かったところは
単なる教科書的な褥瘡予防・ケアに留まらず、
「難しいスケールは要らない。簡単でわかりやすい、
仕事増やさない褥瘡アセスメントをしよう」
「あなたの介助がその誤解が褥瘡を作っているのですよ」
「何故、外国の老人ホームには拘縮した人がいないのか知ってますか?」を
我々介護職員の胸に突きつけてくれましたね。

堀田先生の口から出る言葉に驚くばかりでした。

「褥瘡」は「圧迫」と「ずれ」で出来るらしい。
先生はまず圧迫の説明をする。
爪をぐっと押すと白くなるでしょう、これは毛細血管の血流が止まっているんですよ。
正座をして足が痺れるのは血流が低下しているんです。
脳が「痺れ、痛み」を感じて血流を改善しようと判断をし、
動かしなさいと命令をする。だから僕達は足を動かす。座り直す。
ところが、痺れ痛みを感じない、すなわち情報が脳に送られない、
血流を改善しようと判断出来ない改善するよう命令出来ない、
こういう方に褥瘡が出来てしまう。
わかりやすく丁寧に説明してくれる。

仰臥位で一番、体に圧がかかる場所は
「後頭部」「肩甲骨」「仙骨部」「尾骨部」「かかと」なんだそうだ。
そうそううちの利用者さん達に出来る褥瘡もそういう所に出来る方が多い。
「仙骨部」と「尾骨部」は場所的に近いけれど、褥瘡の出来る理由が違うから気をつけて!と先生が強く言っていた。

仙骨部の褥瘡は「ケアの失敗」で起こる。
仰臥位で横の移動介助を受けてずれた時に起こる褥瘡が多いと言う。
尾骨部の褥瘡は「ベッドを起こす動作や座り方」に問題があるらしい。
ずっこけ座りをしている利用者さん、そういえばすぐお尻が真っ赤になったり
褥瘡を作ったりするよな、と思い出した。

20cm後傾(ずっこけ座り)して車椅子に座っている人のお尻の圧に対して、
先生がこういう話をしていました。
20cmずれているだけで「圧力が3倍に増える」「ずれ力は8倍に増える」
20cm後傾している人は普通に座っている人の24倍の力が
「尾骨」にかかっている計算になる。
そりゃすぐ赤くもなるわな。

堀田先生はOHスケール(褥瘡発生リスクアセスメントのスケールツール)の説明やマットを上手に選び使う方法、
創傷被覆材についても説明をして「実は褥瘡を創ってその治療費や手間を考えると、
マットや被覆材を買った方が安く上がる」と説明していた。
午後からはうぇるぱ高知「下元佳子先生」(通称しもちゃん)による
「褥瘡予防のための動作介助について」の講演及び、グループ演習だった。
7つのグループに分かれ、1台のベッドを囲んで演習が行われた。

chiba2.jpg

あたしはしもちゃんの説明の元、2回目のモデル。
もう慣れたもんだ(笑)

まず、「人間の動作」の基本を知る勉強。
「立ち上がり、普通はどうやって立ち上がっていますか?」から「それならその動きが自然なんですよね。」
「その動きを車椅子の利用者さんにも応用しましょう」となる。
自然な体の動きを邪魔しないように介助をする、
重心を移動させれば、余計な力を使わず、ほら、こんなに楽に(利用者も介助者も)
トランスが出来た!と説明をする。

その丁寧な「ポイントを掴み考え尽くされた」移乗や体位変換を「モデルで体験」しながら、自分は今まで何て怖い介助を行っていたんだろう、と恐ろしくなる。
ここで、朝、堀田先生が言った言葉と自分が経験した利用者さんの言葉がリンクされた。
「外国では拘縮した人がいないんです。何故だかわかりますか?
例えば日本に寝たきりの高齢者の平均体重をご存知ですか?35キロなんです。
アメリカは85キロ。
日本人は「軽い」からトランス出来ちゃうんです。
だから無理してトランスしてしまう。
でも、実は「そのトランスの仕方」は怖いんです。とても怖いんです。
怖いから緊張して固まってしまう。
日本の寝たきりの方はこういう理由で拘縮してしまうんです。

うちのフロアの「良子さん」
両下肢、拘縮している。
オムツ交換でベッドに臥床介助するが、頭は浮き上がりベッドにつかない、
足は膝がくっつき曲がり、手も片手だけ拘縮。何故か、もう片手だけ器用に動く。
3年前まで歩いていた、と言う。
入院して戻ってきたら体中固まってしまっていた。
もう、体は固いもの、と諦めていた。

ある日、私、言ってみたんだ。

「良子さん、あたし、痛くしないよ、勉強してきたんだ。怖くないように出来るんだよ。
                                                   痛くないから、力を抜いて。安心して私に体を任せて。」

と言ったら、彼女の頭はベッドに静かに降りて、足もだいぶ開くようになっていた。
驚いた。引っ張っても押しても駄目なのに、言葉だけで体が柔らかくなった。
今、気付いた。
彼女の唯一、起用に動く左手。
これは「身を守る」左手だったんだ。
「抵抗」の左手。
恐怖と苦痛の毎日だったんだ・・・・・。

トランスだけでなく、ベッド上での移動やポジショニングなどの講義、
演習を経て、しもちゃんの動作介助実習が終わった。
最後に地域ネットワークにおける役割の明確化と課題と言うパネルディスカッション。
医師や地域包括センターの職員、ケアマネ、ヘルパー、
薬剤師などさまざまな職種が「地域でいかに連携を取って在宅医療在宅ケアを支えるか」について発表、そしてパネルディスカッションを行っていた。

chiba4.jpg

医師がトランスをわたしに聞く、
っつうのがもうそれだけで驚きなんだが、
世の中ふんぞり返っている医者が多い中で、
まるで尾道方式のように地域に溶け込みケア従事者を
まとめているドクターの様子に羨望の思いを抱いた。



各職種が集まって、地域のケアを充実させる為に、年7回、勉強会を行い、
年1回学術集会を行い、学会発表を行うと言う。
船橋市がわが国の在宅ケアを引っ張っていく日もそう遠くないのかもしれない。

素晴らしい公開セミナーだった。
 

今日は、「認知症介護研究・研修東京センター」において開催された
センター方式実践報告会」に参加してきました。(このシート、ダウンロード出来ます!)


実践報告会は

「自治体・地域包括・地域組織で活かす」

「居宅でケアマネが活かす」

「在宅サービスで活かす」

「地域密着型サービスで活かす」

「施設・病院で活かす」

「家族で活かす」

「国を超えてその人らしく暮らすことを支えて」

の7つのケースで実践報告が分けられており、そのうちの幾つかの代表が実践報告をしてくれました。

最初の報告は「家で『その人らしく暮らす』ことを支えて」と言うテーマに沿った居宅のケアマネさんの実践報告です。
どうしていいかわからない場面が頻発するようになった妻を夫がしっかり支えるのですが、とうとう耐え切れなくなり夫が「自殺しそうな」限界に直面してしまいます。そんなケースを、センター方式により乗り切ったケアマネさんの話です。
「D−1シート」は「私ができること、できないことシート」と言うのですが、このシートでケアマネさんは
妻が「排尿後、自分でお尻を拭けなくなっていることに気付きます。
夫は「お尻を拭いていたかいなかったかなんて気にしたことがない・・・男だからわからなかった」と答えます。
こうやって、どんどん認知症の理解を深めていくわけです。
行動障害に対しても夫は「そういうことだったのですね・・・であればその行動の意味がわかります。」と納得し、時間をかけて妻を「まるごと」受け入れるようになっていくんです。
その様子をセンター方式の使い方を説明しながら代表の方が丁寧に発表してくれました。

二つめの報告は「施設で『その人らしく暮らす』ことを支えて」と言うテーマに沿って特養の代表の方が発表してくれました。
介護研究発表会や勉強会を積極的に行っている施設でした。
ここはセンター方式ダイジェスト版をつくり、独自のケアマネジメントを取り入れていました。
認知症ケアを研修の柱として位置づけ、職員教育を丁寧に行いキャリアアップを図ってきたわけです。
開設5年目で地域事業所との連携を持つようになり、積極的に地域向けセンター方式の研修会を行うようにまでなってきたとか。
すごいですよね。
「D−4シート」は「24時間生活変化シート」なのですが、これが「認知症の行動障害」を探るのに非常に有効なんだそうです。
そして、このシートは「素人でも」「即座」に書くことが出来る。
もちろん新人とベテランでは「視点」が違うわけですが、経験の多少に関わらず「観察力を養う」のはこのシートならでは。24時間の行動を追ううちにその人が何を思い何に混乱しているのか言葉と行動から推測していけるわけですね。


焦点情報を集中させる「チームプレイ」を生み出す力もこのシートには隠されている。
転ばないように制止するのではなく「ここまでの活動は大丈夫」と言う視点。
「まだわかることがたくさんある!」と言う視点
希望を育むシート、ってわけです。

とにかく「目からうろこ」の実践報告でした。
14枚も埋めなくちゃならないの、前準備の勉強が大変なんじゃないのかな、と怯えていた私ですが、
「ダイジェスト版」だの「混乱期はD−4シートから」だの、工夫をして取り組めることがわかり、
「だったらすぐ使えるじゃないの!!」とわくわくしてしまいました。
「結果が出なくてもいい。視点を学べばそれでよし!」の言葉にも励まされました。

午前の最後、韓国の認知症家族協会の方が発表をしました。
韓国は今年の7月から、介護保険が始まるそうなんです。
凄いですね。新しい歴史が始まる瞬間ですね。
2008年今年、韓国は、療養保護士教育事業・・・日本で言う介護福祉士を誕生させたとか。
研修報告もケアプラン作成研修、マニュアル作成研修、介護技術研修、異常行動別対応方法、リハビリ教育(PT対象)
・・・まるで新しく出来た施設の研修のような初々しさ。
センター方式のチェックシートの内容は前述の2例と比較して(だって外国語で発表しているのだもの)成熟されたものではなかったのですが、要点は掴んでいて、なるほどなるほどと納得出来る報告でした。
新しい風が吹いているのを感じて、発表が終わった時、思わず大きく大きく拍手をしてしまいました。

午後はワークショップがあり、職場別に分かれ、実践報告及びディスカッション等を行いました。
私は「施設・病院」のワークショップに参加したのですが、とても面白かったです。

精神科病棟と言うと「薬漬け、拘束、・・・」とマイナスイメージを持っていたのですが、ここは「向精神薬」による精神安定を目指す薬物療法と「その人らしさに注目する」認知症ケアを並行して行っている病棟でした。
患者本位のケアだけでなく患者本位の医療も並行している、と言うことです。
こういう病院がどんどん増えて、「本当に伝えるべき情報」が円滑に病院施設間を行き来出来れば、どんなに認知症の方が安心出来るだろうと思いました。

最後に「施設・病院」ワークショップの司会の方が仰っていた言葉でしめましょう。

************************

混乱している方達は何も考えていないわけではない。
脳で考えているから、言葉が出る。
意味が成さないように受け取れていても、必ず過去のどこかで経験した何かを物語っている。

どうしてそれを感じたの?
どうしてその言葉が出たの?

とてもつらそう・・・・。

その言葉が出てきた時の様子は?

**************************

これを根拠にしたものが「センター方式」である。

センター方式は認知症の方の介護の指針と方向性を見出します。

**************************

ね、とてもいい言葉でしょう?

私、研修を受けて心を動かされました。

私達、介護職員は認知症の方の行動に怯えています。

転ぶんじゃないか、食べちゃうんじゃないか、どこかに行っちゃうんじゃないか・・・。

もちろん事故を未然に防ぐことは大事だけれど。

何か手段を使って、アプローチしなければ、成功も失敗もない。

心は閉ざされたまま。体はかたく縮こまったまま。

悪い事例を増やす必要はないが、未来へ続く事例も残せないなんて。

あの人の行動の「何故」は他の人の「何故」にも生かせる。

臆病にとどまっていたら、誰も助けることが出来ない。

センター方式、取り入れて欲しいなぁ。

CBニュースにこんなニュースがありました。

「介護保険では認知症介護は限界」

全くその通りだと思いますね。

先日、福祉レク定例会でちょっとした「シンポジウム」的な研修会に参加させていただきました。

レクリエーション援助の定例会ですから、もちろんレクネタとかも紹介するのですが、今回、ゲーム紹介と言うより、発表者・・・私(老健勤務)、 wakaさん(小規模多機能居宅事業所勤務)が互いに働いている職場の特徴や様子を発表し、介護職としてどのように利用者と関わっているか、レクリエー ション援助者としてどのように生活での対人援助を捉え実践しているか比較する、と言うような話に変わって行きました。

私、最初にそのテーマを聞いた時、「あっちは小規模多機能で、私の方は大規模無機能じゃないの。絶対負けじゃん。」と笑ってしまいました。

老健と言う場所は「病院と在宅の中間施設」と銘打ってデビューしたと思うのですが、いまや「施設のたらい回し」が普通になってしまった。

認知症棟にいて、今まで何百人ものたくさんの利用者さんのケアに従事してきましたが、在宅に戻ったのは、おそらく5本の指で数えられるほどでしょう。

認知症ケアと言うのは実は「元気な混乱期」が一番マンパワーを必要とするんですね。

しかも「施設」と言う環境は本当に認知症ケアに向いていない。

それでも「在宅で共倒れするのなら」と我々も一生懸命介護するわけです。私もこの混乱しまくっている認知症の利用者さんを何とかしたくて微力ながら力になりたくて認知症ケア専門士を取ったようなところもあるんですね。

常々本家のブログでも書いていたんです。

認知症の混乱期(繰り返し質問、繰り返し訴え、見当識障害によ混乱、徘徊、etc.etc)を在宅でケアするのは本当に大変だ、共倒れしてしまう。

ショートステイで在宅と施設入所を繰り返すのが一番いいと思う。

ショートステイにすると「家族は利用者さんに」「利用者さんは家族に」優しい気持ちで接することが出来ているように感じる。

だから、私は老健の存在自体を否定するわけではなく老健で働き続けたいと思っているわけです。

「自分が入所したい老健」を夢見たりしているわけです。

先日、宅老所「ひなたぼっこ」代表の大見さん(上のニュースにも登場しています)が、、NPO法人を立ち上げ介護保険外の介護を含め赤字覚悟の経営 を回している話を聞き、wakaさんの働く小規模多機能事業所の経営も大変なのを聞いて、「国はお金を使う場所が違うんじゃないか」と思いました。

十把一絡げでないケアが出来れば一番いいんです。

認知症ケアに一番いけないのは十把一絡げケアだと思うんですよ。

宅老所や小規模多機能施設が地域で生き生きとその機能を果たせるようになれば、「介護の世界」は変わるんだと思うんですね。

でも現状の介護保険では対応しきれないのでしょう。

何とか、介護保険、見直して頂きたいです。

自分が老健で働いていて思うのは、

「大規模無機能」ではなく「大規模多機能」で、安心して生活出来る老健ってのが出来ないのか、「長屋」のように、コミュニティ機能が充実し、本当の 意味での自立支援が存在する生活の場が提供出来ないのか、「立てるようになったが転ばれると困るので立たないで」とか「歩けるようになったが鍵がかかって いて歩いていきたい場所がない」なんて意味のないリハビリが、全く生活に反映されないリハビリとワケわからんケアプランがいつになったら無くなるのか、

そんな事を考えています。

いつも監視され、見えない拘束に縛られ、不本意な生活を強いられる老健はこれから先どう変わっていくのでしょう?

「本当に大丈夫か」転換老健に疑問噴出

こっちの老健もごたごたしていますね。

記事を読んでいて思い浮かんだのは「非常に対症療法的」「くさいものには蓋」って発想。

厚生労働省も後先考えず、いろんな事言い出すんだなーとなかば感心してしまいました。

2008年10月

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JUNKO's プロフィール

Junko
名前*JUNKO

年齢*45歳(9月23日で46歳になってしまいます)

仕事*老健の認知症棟で介護職をしています。介護の仕事とレクリエーション援助の仕事を半々担当しています。

キャラ*ずぼらなA型、情熱的な天秤座、勘違いだらけの人生・・でも辻褄合わすの上手・・・。泣いたり笑ったり怒ったり哀しんだり、喜怒哀楽の激しい性格です。

趣味*バンド・・・・下手だけどドラマーです。キーボードやる時もあります。直球のロックが大好き。ハモるのが好きでコーラスも担当します。昔は作詞作曲もしたけど、今は忙しくて・・・。

好き*音楽、介護、アメリカ映画、英語、チョコ、卵、冒険、ナスの天ぷら、女性っぽい男の人、男っぽい女の人、意外性のある人間、マラソン、お年寄り、子供

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