最初の講義は「堀田予防医学・統合医療研究所・堀田先生の
「OHスケールを用いた褥瘡リスクマネージメント」でした。
この講習会の面白かったところは
単なる教科書的な褥瘡予防・ケアに留まらず、
「難しいスケールは要らない。簡単でわかりやすい、
仕事増やさない褥瘡アセスメントをしよう」
「あなたの介助がその誤解が褥瘡を作っているのですよ」
「何故、外国の老人ホームには拘縮した人がいないのか知ってますか?」を
我々介護職員の胸に突きつけてくれましたね。
堀田先生の口から出る言葉に驚くばかりでした。
「褥瘡」は「圧迫」と「ずれ」で出来るらしい。
先生はまず圧迫の説明をする。
爪をぐっと押すと白くなるでしょう、これは毛細血管の血流が止まっているんですよ。
正座をして足が痺れるのは血流が低下しているんです。
脳が「痺れ、痛み」を感じて血流を改善しようと判断をし、
動かしなさいと命令をする。だから僕達は足を動かす。座り直す。
ところが、痺れ痛みを感じない、すなわち情報が脳に送られない、
血流を改善しようと判断出来ない改善するよう命令出来ない、
こういう方に褥瘡が出来てしまう。
わかりやすく丁寧に説明してくれる。
仰臥位で一番、体に圧がかかる場所は
「後頭部」「肩甲骨」「仙骨部」「尾骨部」「かかと」なんだそうだ。
そうそううちの利用者さん達に出来る褥瘡もそういう所に出来る方が多い。
「仙骨部」と「尾骨部」は場所的に近いけれど、褥瘡の出来る理由が違うから気をつけて!と先生が強く言っていた。
仙骨部の褥瘡は「ケアの失敗」で起こる。
仰臥位で横の移動介助を受けてずれた時に起こる褥瘡が多いと言う。
尾骨部の褥瘡は「ベッドを起こす動作や座り方」に問題があるらしい。
ずっこけ座りをしている利用者さん、そういえばすぐお尻が真っ赤になったり
褥瘡を作ったりするよな、と思い出した。
20cm後傾(ずっこけ座り)して車椅子に座っている人のお尻の圧に対して、
先生がこういう話をしていました。
20cmずれているだけで「圧力が3倍に増える」「ずれ力は8倍に増える」
20cm後傾している人は普通に座っている人の24倍の力が
「尾骨」にかかっている計算になる。
そりゃすぐ赤くもなるわな。
堀田先生はOHスケール(褥瘡発生リスクアセスメントのスケールツール)の説明やマットを上手に選び使う方法、
創傷被覆材についても説明をして「実は褥瘡を創ってその治療費や手間を考えると、
マットや被覆材を買った方が安く上がる」と説明していた。
午後からはうぇるぱ高知「下元佳子先生」(通称しもちゃん)による
「褥瘡予防のための動作介助について」の講演及び、グループ演習だった。
7つのグループに分かれ、1台のベッドを囲んで演習が行われた。
あたしはしもちゃんの説明の元、2回目のモデル。
もう慣れたもんだ(笑)
まず、「人間の動作」の基本を知る勉強。
「立ち上がり、普通はどうやって立ち上がっていますか?」から「それならその動きが自然なんですよね。」
「その動きを車椅子の利用者さんにも応用しましょう」となる。
自然な体の動きを邪魔しないように介助をする、
重心を移動させれば、余計な力を使わず、ほら、こんなに楽に(利用者も介助者も)
トランスが出来た!と説明をする。
その丁寧な「ポイントを掴み考え尽くされた」移乗や体位変換を「モデルで体験」しながら、自分は今まで何て怖い介助を行っていたんだろう、と恐ろしくなる。
ここで、朝、堀田先生が言った言葉と自分が経験した利用者さんの言葉がリンクされた。
「外国では拘縮した人がいないんです。何故だかわかりますか?
例えば日本に寝たきりの高齢者の平均体重をご存知ですか?35キロなんです。
アメリカは85キロ。
日本人は「軽い」からトランス出来ちゃうんです。
だから無理してトランスしてしまう。
でも、実は「そのトランスの仕方」は怖いんです。とても怖いんです。
怖いから緊張して固まってしまう。
日本の寝たきりの方はこういう理由で拘縮してしまうんです。
うちのフロアの「良子さん」
両下肢、拘縮している。
オムツ交換でベッドに臥床介助するが、頭は浮き上がりベッドにつかない、
足は膝がくっつき曲がり、手も片手だけ拘縮。何故か、もう片手だけ器用に動く。
3年前まで歩いていた、と言う。
入院して戻ってきたら体中固まってしまっていた。
もう、体は固いもの、と諦めていた。
ある日、私、言ってみたんだ。
「良子さん、あたし、痛くしないよ、勉強してきたんだ。怖くないように出来るんだよ。
痛くないから、力を抜いて。安心して私に体を任せて。」
と言ったら、彼女の頭はベッドに静かに降りて、足もだいぶ開くようになっていた。
驚いた。引っ張っても押しても駄目なのに、言葉だけで体が柔らかくなった。
今、気付いた。
彼女の唯一、起用に動く左手。
これは「身を守る」左手だったんだ。
「抵抗」の左手。
恐怖と苦痛の毎日だったんだ・・・・・。
トランスだけでなく、ベッド上での移動やポジショニングなどの講義、
演習を経て、しもちゃんの動作介助実習が終わった。
最後に地域ネットワークにおける役割の明確化と課題と言うパネルディスカッション。
医師や地域包括センターの職員、ケアマネ、ヘルパー、
薬剤師などさまざまな職種が「地域でいかに連携を取って在宅医療在宅ケアを支えるか」について発表、そしてパネルディスカッションを行っていた。
医師がトランスをわたしに聞く、
っつうのがもうそれだけで驚きなんだが、
世の中ふんぞり返っている医者が多い中で、
まるで尾道方式のように地域に溶け込みケア従事者を
まとめているドクターの様子に羨望の思いを抱いた。
各職種が集まって、地域のケアを充実させる為に、年7回、勉強会を行い、
年1回学術集会を行い、学会発表を行うと言う。
船橋市がわが国の在宅ケアを引っ張っていく日もそう遠くないのかもしれない。
素晴らしい公開セミナーだった。
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